がんは、この40年間かわらず、日本人の死因の第1位です。
遺伝子の配列を高速かつ大量に解析できる技術の飛躍的な進歩により、がんで実際におきている遺伝子の異常の全容が明らかになりつつあります。
そして、今、がんゲノム医療が進められようとしています。
しかし、これですべてが解決したわけではありません。なぜなら、ひとつのがんで無数の遺伝子の異常がみつかります。同じような遺伝子の異常が、まったく別のがんでもみつかります。さらに、その異常は、病気と診断されていない高齢者の一部の細胞でもみつかります。遺伝子の異常をもった細胞が、身体のなかでどのようにしてがんをおこすのか?どうして、患者ごとに異なる多様な遺伝子の異常から同じ種類のがんがおこるのか?同じような遺伝子の異常からどうして別の種類のがんがおこるのか?
有効な治療標的をみつけ、がんを治すためには、この原因(遺伝子の異常)と結果(がんの発症)のあいだを解き明かす必要があります!
腫瘍病態制御学研究室では、臨床での課題に基づいて疾患モデルを作製し、病気を一つの細胞レベルだけではなく、全身表現型を含めた個体レベルでとらえながら、病態発症メカニズムを明らかにしていきます。解析から浮かび上がった機序に対して、将来的な創薬や臨床応用をめざし、治療標的としての有用性を検証していきます。様々ながんにおいて、アンメットメディカルニーズを充たす革新的な新薬、治療法の開発を目指します。
立命館大学 薬学部 腫瘍病態制御学研究室
教授 林 嘉宏